破滅エンドまっしぐらの悪役令嬢に転生したので、おいしいご飯を作って暮らします
「何オプションって。アーシェがボクを好きになってくれるオプションがついてるなら、お小遣いはたいて全部買い──」
「すいませーん! このオレンジってここにあるので全部ですか?」
「って、聞いてないし」
店員と会話を始めたアーシェリアスに、ノアは唇を尖らせる。
不服そうなノアの様子に、ザックは荷物を抱え直すと「残念だったな」と声をかけた。
「アーシェは食べ物のことになると他は見えず聞こえず状態になる時がある。本気で伝える気があるなら、ちゃんとした雰囲気を作った方がいいぞ」
アドバイスとも取れるザックの言葉に、ノアは表情を真面目なものに変える。
「……ザックはそれでいいの? ボクが本気出しても大丈夫なわけ?」
「その時は俺も全力でいくだけだ」
ザックの返答に、ノアは睫毛の長い大きな瞳を丸くした。
(てっきり誤魔化すかと思ってたのに認めた……)
正直に気持ち吐露したザックと、驚くノア。
静かに火花を散らしていることに気付かないアーシェリアスは、籠にマンゴーを入れるエヴァンを発見する。
「ちょっと、エヴァンさん! マンゴーはそんなにいらないです」
「いいや、一日一マンゴーだ」
俺には必要なのだと言い張るエヴァンに、アーシェリアスは「もう……」と苦笑した。