破滅エンドまっしぐらの悪役令嬢に転生したので、おいしいご飯を作って暮らします
道具屋は青果店が並ぶ大通りの裏手に店を構えている。

辺りには酒場が多く並んでいるのだが、傷薬等を買い足したアーシェリアスが店を出て厩舎へ向かおうとした瞬間、足元のおぼつかない酔っ払いとぶつかってしまった。


「あっ!」


バランスをうまく取れなかったアーシェリアスは、よろめいて転倒し、購入品が路地に散乱する。


「気をつけろバカヤローコノヤロー」

「ごめんよぉ、おねぇちゃん」

「い、いえ。こちらこそごめんなさい……」


アーシェリアスの父、オスカーと同じくらいの年齢だろうか。

酔っ払い二人組は「もう一軒行くか」と路地にへたり込むアーシェリアスに特に手を貸すこともなくフラフラと歩き去っていく。


(まぁ、下手に絡まれるよりはいいかな)


以前、酒場で絡まれてザックに助けられた時のことを思い出す。


(やっぱり、一緒に来てもらえば良かったかも)


心細さが胸の内に生まれて、自分がどれほどザックを頼りにしているかを再確認しながら、散らばってしまった電鉱石や薬を拾っていた時だ。


「……なんだか、苦労してるのね」


覚えのある女性の声に、アーシェリアスはまさかとほんの一瞬息を止めてから顔を上げた。

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