破滅エンドまっしぐらの悪役令嬢に転生したので、おいしいご飯を作って暮らします
「伯爵だか侯爵だか知らないが、誰かの為に必死になれるアーシェを恥ずかしいなどと思うような男なら、破断になって正解だな」
辛辣な言葉を並べつつ、背後から現れたザックはアーシェリアスが落とした電鉱石を拾い上げる。
「大丈夫か?」
「ありがとう。私は平気よ。厩舎に行ったんじゃなかったの?」
「やっぱり心配だったから、荷物はエヴァンとノアに任せた」
自分の為に引き返して追ってきてくれたことを知り、さらには今までの行いを認めてくれたザックの言葉に、アーシェリアスは「ありがとう」ともう一度しっかりとした口調で感謝を伝えた。
ザックは転がったものを全て袋に戻すと、アーシェリアスに手を差し伸べ立たせる。
触れるザックの手は温かく、それが彼の心の温かさをも表しているようで、アーシェリアスは思わずキュッと握った。
「……あのぉ、どちら様ですか?」
突如現れた金髪の美青年に、ミアは自分が相手から可愛いく見える角度を作って首を傾げる。
しかし、ついさっき、アーシェリアスに対して嫌味をぶつけていたのを聞いていたので、ザックの目に映るミアは、人の皮を被った強かで醜い魔物だ。
「ただの旅の仲間だ」
名乗るつもりはないので曖昧に答えたザックだったが、ミアは目ざとくもザックの腰に下げる剣の柄に気付く。