危険な愛に侵されて。



「……どうしてですか」


「このまま隠れていようが、何をしようが。
俺たちに勝ち目がないことはわかっている。

とんでもない打算だった。
お前と雪夜涼雅が同じ高校に通い始めたことがもう」


輝きのない瞳。
諦めたような声。

なのにどうしてだろう。
こんなにも怖いと思うのは───



「だからひとつだけ、やり遂げたいことが“俺たち”にはある」


先ほどから“俺たち”と言う秋崎さん。
いったい誰が含まれているのだろう。

もしかして───



「雪夜涼雅だけは“俺たち”の目の前で殺そうと」


それはとんでもない言葉だった。
秋崎さんの瞳には憎しみの感情が込められている。

どうして、だ。
涼雅はまだ高校生の子供だというのに。


どうして大人が彼の命を狙うの?



「お前を人質にして雪夜をおびき寄せる。

外には全人員を配置し、少しの異変があればすぐ中に伝わるようにしているから、その時点でお前の命はないと。

そうすれば必ず雪夜はひとりで来る」


ニヤリと、狂ったような笑みをみせる秋崎さん。
もう正気ではない。

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