危険な愛に侵されて。



もしかしたら私は、ここに来るべきではなかったのかもしれない。

読みが外れていたのかもしれない。


居場所を特定するために来たけれど。
それとは引き換えに、涼雅の命が───

危険に晒される、と。



急いで涼雅に連絡を取りたいけれど、もう遅い。
今更過去に戻ることはできないのだ。



「なあ、雪夜の死を最後に“3人”で見届けよう。
大丈夫だ、お前は殺さない」

「……っ、涼雅じゃなくて私を殺してください」


「それは無理だ。“京子(きょうこ)さん”のために、あいつには死んでもらう」

「京子、さん?」

「雪夜の母親だ。
京子さんにとって今はもう忘れたい過去らしいが」


思わず秋崎さんを睨んでしまう。
今、何て言った?



涼雅の母親が“京子さん”で、そんな彼女が母親であったことを忘れたいと?

自分勝手にも程がある。
笑わせないでほしい。


「ふざけないで…」


どうして、どうして。
息子ひとり、大事にせず。

人の命をなんだと思っているんだ。



「ふざけないでください!涼雅がいったい何をしたんで……」


許せないと思い、秋崎さんに向かって叫んだその時。
顔をしかめた秋崎さんが私の口元を塞いできて。

次の瞬間。
私はあっという間に意識が途絶えてしまった。

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