危険な愛に侵されて。







背中には冷たい感触。
硬いコンクリートのようで、痛い。

体だけでなく頭も痛み、その結果私は目を覚ました。



「起きたか。
ちょうどいいタイミングだ」

ぼーっとする中、秋崎さんの声が耳に届いて意識を失う前のことを思い出した私。


上体を起こせば頭が痛み、思わぬ手で押さえる。

薄暗い廃工場のようなこの場所は、においもあまり好まないところだった。



「すまない。少し強いものを使ってしまったらしい。
お前があまりにもうるさいから」


ひとつも反省していないくせに謝ってくる秋崎さんの目は、心なしか輝いているように見える。

それが逆に怖く、何か企んでいそうだ。


「そろそろ雪夜涼雅が来ることだろう。
連絡はついているから」


その言葉を聞いてようやく秋崎さんの明るい表情の意味が理解できた。

涼雅と連絡がついた?


それって───


「涼雅の名前を出さないでくれる?
聞いただけで吐き気がする」


その時、冷たい声が背後から聞こえ。

咄嗟に振り向くと、そこにはひとりの女性が立っていた。

< 356 / 370 >

この作品をシェア

pagetop