危険な愛に侵されて。




涼雅の母親だとすぐにわかった。
似ている、とも思ったのだ。

涼雅は父親ではなく母親似のようで。


この人が涼雅の母親である、“京子”さん───?



「どーも、静音ちゃん。
気分はどう?」

そんな彼女は私を見るなり、にこっと優しい笑顔を浮かべてきた。



『あら、静音ちゃんいらっしゃい』

その時に脳裏をよぎったのは、優しい笑顔で家に迎え入れてくれた“すずくんママ”の姿。


重なった、昔に見た涼雅の母親の姿と。


間違いない。
涼雅の母親であり、この人が“京子さん”。


そして───



私の両親を殺した張本人。



「あなたには辛い思いをさせてしまったわね」


眉を下げて悲しい表情をした京子さん。
その表情が“作っている”ということぐらい、私にはわかる。



「……っ、あんたが」


「あら、ちょっと口の聞き方が悪いようね。
ちゃんとしつけ、受けなかったの?

ダメな両親ね」


落ち着け、落ち着くんだと何度も自分に言い聞かせる。

わざとやっている。
わざと私の怒りを引き出そうとしているのだ。

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