危険な愛に侵されて。



それはもう戦うことを諦め、降参した証拠で。



「りょ、が…何して……」
「静音。ごめんな」

突然の謝罪の言葉。
そんなのいらない。


だから戦ってよ。
戦って、その後には私を抱きしめてキスをしてよ。

目から涙があふれ、頬を伝う。
そんなの嫌だと。



「……あははっ、何この生ぬるいやり取り!
相変わらずあんたは私をイライラさせる」


それなのに、京子さんは。
いつまでも涼雅を見下し、“人”として扱わない。

悔しい。


どうしてこんな奴に、こんな奴らに涼雅は殺されないといけないのだ。



「お願い、殺すなら私を殺して…」
「静音。もういいから」

「なんで!涼雅は私に尽くすためにこれから生きてくれるんでしょう!?」

「だから今、お前に尽くす時だろ」


ゆっくりと涼雅は足を前に進める。
一歩一歩、秋崎さんの銃口へと向けて確実に。



「い、や……」
「静音の命の保証は?」

「俺たちはお前を殺すだけ。
あとは逃げる予定だが、おそらくそれは無理だろうな」


「ああ。秋崎らが捕まるのも時間の問題だろ」



なんで、どうして。
今から殺されるような人間には見えない。

行かないで、それとも策があるというの?

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