危険な愛に侵されて。



血が飛び散ったため。

一瞬ヒヤリとし、息をすることを忘れてしまったけれど。


コンクリートの地面上に拳銃が落ちたのが視界に映った。



「……え」

声にならない京子さんの呆然とした声が聞こえたあと。



秋崎さんの手から拳銃が落ち、逆にその手がじわじわと赤く染まっていくのが見えた。



「……涼雅」

その次に聞こえてきたのはひどく冷たい声で。
次の瞬間、涼雅はハッと我に返ったような表情をして。


すぐ秋崎さんの落とした拳銃を手に取り、逆に彼に銃口を向けた。


「……っ、これはこれは、頭の拓哉さんではないですか」



そう。
銃を撃ったのは秋崎さんではなく───


少し離れた位置にいつのまにか立っていた、神田だった。

一寸の狂いもなく、神田は秋崎さんの手を狙い撃ったのだ。



そんな神田は落ち着いているように見えて、怒っているようにも思えた。



「涼雅、なに死に急いでるの?
どうしてなにも言わず、ひとりできたの?」


一見、秋崎さんに怒りを向けているのかと思いきや。
神田は自ら死にに行った涼雅に怒っていたようだ。

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