危険な愛に侵されて。
「悪い、緊急で」
「だからって死に行こうとして、バカなの?」
珍しく怒りをあらわにするものだから、意外と仲間思いなところもあるのだという驚きすらあった。
「ですが残念ですね、拓哉さん。
外には仲間が待機しています。
今この場にいる時点で拓哉さんにも命の危険が…」
その時、ふたりの会話を遮るかのように秋崎さんが口を開いた。
「仲間が待機?
ああ、それならもうすぐ片付くかと思います」
ニヤッと秋崎さんが笑ったかと思えば、すぐ絶望に近い表情へと変わり。
神田はあの秋崎さんよりもさらに上を行く。
「バカなっ…だって連絡なんてひとつも」
「残念ですがこちらには“元殺し屋”がいるもので。
静かに殺すことは得意な人種です」
にこっと、今度は逆に神田が微笑んだかと思えば。
ひとりの足音が遠くから聞こえてきて。
だんだんと近づいてくる足音。
その足音の正体は───
「遅くなりました、神田様」
黒い服にところどころ、赤い血が付着している宮木さんの姿がそこにはあった。
手にはナイフを持っており、刃先は赤で染められているからゾッとした。