15年目の小さな試練
きっと、みんなみたいにスマートフォンを持てば、もっと簡単に顔を見て電話をできるのだと思う。
だけど電話をするだけなら、余分な機能がない昔ながらの携帯電話の方が使い勝手が良い。だから、まだ変えようとは思えないのだけど、世間は既にスマートフォン一色に染まっていて、そろそろ携帯電話サービスがなくなりそう。それがちょっと怖かった。
晃太くんに教わった通りに、カナの名前を呼び出して、ビデオ通話ボタンを押すと、程なくカナの顔が映った。
「お待たせしました」
「ううん。全然、大丈夫!」
画面の向こうのカナは満面の笑顔だった。
火曜日に見た時、カナはとても疲れた顔をしていた。昨日の夜は、ずいぶんとスッキリして見えたけど、まだやつれていると思った。病み上がりだなって感じで。
だけど今、カナはすっかり元のカナに戻っていた。インフルエンザで寝込んでいたとは思えないくらい元気そう。
そんなカナを見ると、本当にホッとする。
「ハル~! 会いたかった~!! って言うかさ、ああもう、本物のハルに会いたい。日曜日から会ってないんだよね。えーっと、」
カナは、日、月、火……と指折り数える。
「もう五日もハルと会ってない! 信じられない!」
去年の今頃はまだ、この部屋に一人で住んでいた。結婚してからだって、わたしは何ヶ月も入院していて、一緒にいられない日も多かったのだけど、それが平気だったのが嘘みたい。
今ではすっかり、カナがいるのが当たり前の生活になっていた。
「……寂しいね。わたしも、会いたいな」
だから、そんな元気そうなカナを見ると、なぜ、今一緒にいられないのだろうと、理不尽な怒りを感じてしまう。
だけど電話をするだけなら、余分な機能がない昔ながらの携帯電話の方が使い勝手が良い。だから、まだ変えようとは思えないのだけど、世間は既にスマートフォン一色に染まっていて、そろそろ携帯電話サービスがなくなりそう。それがちょっと怖かった。
晃太くんに教わった通りに、カナの名前を呼び出して、ビデオ通話ボタンを押すと、程なくカナの顔が映った。
「お待たせしました」
「ううん。全然、大丈夫!」
画面の向こうのカナは満面の笑顔だった。
火曜日に見た時、カナはとても疲れた顔をしていた。昨日の夜は、ずいぶんとスッキリして見えたけど、まだやつれていると思った。病み上がりだなって感じで。
だけど今、カナはすっかり元のカナに戻っていた。インフルエンザで寝込んでいたとは思えないくらい元気そう。
そんなカナを見ると、本当にホッとする。
「ハル~! 会いたかった~!! って言うかさ、ああもう、本物のハルに会いたい。日曜日から会ってないんだよね。えーっと、」
カナは、日、月、火……と指折り数える。
「もう五日もハルと会ってない! 信じられない!」
去年の今頃はまだ、この部屋に一人で住んでいた。結婚してからだって、わたしは何ヶ月も入院していて、一緒にいられない日も多かったのだけど、それが平気だったのが嘘みたい。
今ではすっかり、カナがいるのが当たり前の生活になっていた。
「……寂しいね。わたしも、会いたいな」
だから、そんな元気そうなカナを見ると、なぜ、今一緒にいられないのだろうと、理不尽な怒りを感じてしまう。