15年目の小さな試練
「と思うけど、……ああ、淳とやると、けっこう激しいかも」

「手抜いたら?」

「……やられるでしょ、そしたら」

 そう言うと、兄貴は

「そりゃそうだ」

 と笑った。



 結局、組み手でもハルは具合を悪くすることはなく、終始嬉しそうににこにこしていた。

 そしてしきりに、オレの事をすごい、素敵、カッコいいと褒めまくる。

 一緒にいた兄貴まで褒めてくれて、そこに調子に乗った淳がやってきて……。

 気が付くと、なぜかオレは空手部に入部する事になっていた。

 ただし、毎回は来ない、多くても週一しか来ない、水曜日にしても毎週は確約できないと釘を刺しまくり、それでも良いと言われての入部。

 早速、歓迎会をという言葉は丁重にお断りをして、その日もハルと一緒に家に直帰した。
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