15年目の小さな試練

思いがけない答え

 月曜日に無事、退院して、火曜日から通学。
 気が付くと、もう六月も終わりだった。

 カナはもう一日休んだ方が良いんじゃないかって渋ったけど、これ以上、休みたくなかった。

「あ、ハルちゃんだ!」

「退院おめでとう!」

「具合、どう?」

「もう大丈夫?」

 教室に入ると、柚希ちゃん、美香ちゃんが飛んできて、その後ろから、海堂くんと河野くんも口々に声をかけてくれた。

「えっと……あの、はい、もう大丈夫です」

 戸惑いながら言葉を返し、

「あ、休んじゃってごめんね」

 と慌てて、謝罪の言葉を口にする。

「やだ、何言ってんの。病気の時は仕方ないでしょ。そんなこと、気にしないの」

 柚希ちゃんが苦笑いしながら、わたしの肩をポンポンと叩く。

「昨日、退院したばっかりなんだよね? 無理しないでね」

 と、美香ちゃんが椅子を引いて座らせてくれた。

「うん。ありがとう」

 笑顔でお礼を言うと、美香ちゃんもニコッと笑ってくれた。



 授業後、そのまま六人でご飯を食べた。
 海堂くんと河野くんが席取りに走り、無事大きなテーブルを確保。

 わたしはいつもよりも更に小食なのを驚かれながらも、何とか持ってきたお弁当を完食。

 誰よりも小さなお弁当を一番遅く食べ終わったのに、カナに

「頑張ったな」

 って頭をなでられて、それをみんなにからかわれて……。

 そうして、お昼休み終了の十五分前、カナは腕時計で時間を確認すると、わたしに笑いかけた。
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