15年目の小さな試練
 そうは言いつつ、お前だって、本当は自分でも分かってるよな?

 電話の向こうで叶太は何やらぶつぶつ言っていたけど、俺はもう聞くことなく、

「じゃあ、おやすみ」

 と話を打ち切る。

「……おやすみなさ~い」

 電話の向こうからは、長いため息の後におやすみの言葉が聞こえてきた。

 そして、おやすみと言ったくせに、叶太からは数分と経たずにメールが送られてきた。



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 TO:兄貴
 件名:お願い
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 ハル、今日の昼間に少し調子崩して、
 三限目、医務室で寝てたんだ。
 大した事なかったし、四限は出たし、
 夕方、友だちと楽しそうにお茶してたし、
 元気だとは思うんだけど……。
 本当に無理させないでね?
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 ああ、叶太の心配にもちゃんと理由があったかと納得。

 あの心配性の叶太が大した事なかったというくらいだから、本当に大丈夫だったのだろう。
 だけど、叶太がそこまで心配するくらいには、ハルちゃんの体調は良くないのも本当か。

 ……まあ、そうだよな。

 昨日まで、入院してたんだもんな。
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