15年目の小さな試練

イヤな理由

 体調が許せば、できる限り早くに課題を片付けるハルは、熱を出して入院する前になんと山野先生の課題を片付けていた。

 そうして、ハルは退院翌日にあった山野先生の授業でハルはいつものように、課題を提出してしまった。

 課題を出す前にコッソリ、

「来週にしたら?」

 と言ってみたけど、ハルからは

「……え? なんで?」

 と不思議そうに聞き返された。

「2週間以内に出せばいいし」

 と言っても、ハルは

「でも、もうできてるよ?」

 と、オレが何を言いたいのか、まったく分からないようで小首を傾げる。

 できてないふりをして提出を遅らせたら、新しい課題は渡されない。そうしたら、一週間身体が休められるよね?

 と懇切丁寧に説明したかった。だけど、なにせ授業中だ。それ以上の会話はできず、ハルは当然のように完成した課題を出して、先週の課題と新しい課題をもらってきてしまった。

 同じ班のメンバーは、そんなハルを見て、小声で、

「ハルちゃん、真面目だね~」

「ムリしない方が良いんじゃない?」

 なんて言っていたけど、ハルは何を言われているのか、やっぱり分かっていない。

 サボるって言葉、ハルの辞書にはない気がする。


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