15年目の小さな試練
エピローグ
「……ったく。お前がついていながら」
いつの間にか梅雨も明け、季節は初夏となり、窓の外には晴れ渡る青い空。
ベッドにはスヤスヤ眠るハル。顔色も呼吸状態も悪くない。
朝ご飯も昼食も、完食とはいかないけど八割方食べられた。
そんなハルを遠目に見ながら、病室のソファでオレは明兄に絶賛叱られ中。
「ごめんね」
オレは言い訳することもできずに、うなだれるしかなかった。
春から続いたあれこれに片が付いたその夜、つまり山野先生の研究室に行った日の夜、ハルは体調を崩した。
張りつめていた緊張が解けて、疲れがどっと出たようで、夜中に発作を起こして救急搬送。
入院後も不整脈がなかなか治まらないし、熱は高いし、本当に心配した。
だけど、ようやく昨日、点滴も酸素マスクもすべて取れて、このまま何事もなければ明日には退院予定。
明兄がハルの様子を見に帰郷したのは、そんな土曜日の午後だった。
「大体、お前、なんで相談して来なかったの?」
あ、それで怒ってるの、明兄?
「山野、だっけ? 叩けば幾らでもホコリが出るだろ」
確かに明兄に相談したら、いつの間にか担当の先生が変わってるとか、十分にありそうだ。
実のところ、それも考えないではなかった。
「……でもさ、ハルがあんまり楽しそうだったから」
オレの言葉を聞いて、明兄は眉をひそめた。それから、ハルの方に目を向けると、ふうっと長く息を吐く。
いつの間にか梅雨も明け、季節は初夏となり、窓の外には晴れ渡る青い空。
ベッドにはスヤスヤ眠るハル。顔色も呼吸状態も悪くない。
朝ご飯も昼食も、完食とはいかないけど八割方食べられた。
そんなハルを遠目に見ながら、病室のソファでオレは明兄に絶賛叱られ中。
「ごめんね」
オレは言い訳することもできずに、うなだれるしかなかった。
春から続いたあれこれに片が付いたその夜、つまり山野先生の研究室に行った日の夜、ハルは体調を崩した。
張りつめていた緊張が解けて、疲れがどっと出たようで、夜中に発作を起こして救急搬送。
入院後も不整脈がなかなか治まらないし、熱は高いし、本当に心配した。
だけど、ようやく昨日、点滴も酸素マスクもすべて取れて、このまま何事もなければ明日には退院予定。
明兄がハルの様子を見に帰郷したのは、そんな土曜日の午後だった。
「大体、お前、なんで相談して来なかったの?」
あ、それで怒ってるの、明兄?
「山野、だっけ? 叩けば幾らでもホコリが出るだろ」
確かに明兄に相談したら、いつの間にか担当の先生が変わってるとか、十分にありそうだ。
実のところ、それも考えないではなかった。
「……でもさ、ハルがあんまり楽しそうだったから」
オレの言葉を聞いて、明兄は眉をひそめた。それから、ハルの方に目を向けると、ふうっと長く息を吐く。