秋の魔法
1年生の秋がやって来た。今日は、10月15日。僕と先輩の誕生日。たまたま僕と先輩の誕生日が一緒だった。
「秋羽、お誕生日おめでと」
放課後、いつものように図書館に来ると先輩がふわふわと空を飛びながら僕を見つめていた。
「先輩こそお誕生日おめでとうございます」
いつもの表情でそう言うと、先輩は僕の目の前に着地して悲しそうに微笑んだ。
「……ありがと」
先輩は今にも泣き出しそうな表情で笑っていた。
「…先輩、何で笑っているのですか?」
僕は先輩に問いかけた。先輩の笑顔が崩れる。先輩は僕に魔法をかけて屋上に移動させた。屋上には誰もいない。こっちの方が話しやすいと判断したのだろう。
「無理してまで笑う必要は無いんだよって雪羽なら言うと思いますが」
僕は魔法を使い、人格を分けた。雪羽は苦しそうな顔で先輩を見つめている。
「美影さん、何を抱えているの…?」
先輩は感情を抑えきれなくなったのか泣き崩れた。雪羽は、それを見つめながら泣き崩れる。雪羽は他の人の感情に強く敏感だ。僕は何も思わない。
僕は無表情で2人を見つめる。泣いたところで何が変わるというのだろうか。恐らく今の僕は冷めた目をしているだろう。
「……先輩、雪羽…泣くって何?」
涙が収まりつつある2人に問いかけると、雪羽は何かに気がついたような顔を、先輩は少し驚いた顔をそれぞれ僕に見せた。