ぜ、ん、ま、い、と、あ、た、し
ルークが腕を組み、得意顔で豪語する。

「いやー、俺様のイカした登場シーン、お前らにも見せたかったぜ」

「な?」と賛同を求められた。

「ええ、とても」とあたしは答え、感謝の意味で微笑みも添付した。

「あの真っ赤な旗が燃え上がる瞬間の快感ったらなかったなあ」

 恍惚としたルークを横目で見ながら、シノブが問責する。
「もう、勝手に宣戦布告みたいな真似しちゃってさ。どうするの? 何の準備もしていないのに襲撃でもされたら」

「迎え撃つだけよ」

短絡的なルークの見解に、周囲の者はこれだとばかりに嘆息したり、目頭を押さえたりしている。

「でも、なんで他人の記憶なんて奪うんやろ?人の思い出に浸るなんて、だたの覗き趣味やん」

サナエが言うとどこか世間話のような響きになる。

「彼は、楽しかった記憶とか、幸せだった記憶とかを集めているみたいです。それを集めてどうするつもりなのか……」

脳みそを爪で引っ掻かれるあの感触を思い出し、無条件に立毛筋が縮む。あたしは自分の肩を抱いた。

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