ぜ、ん、ま、い、と、あ、た、し
「創手は、あたしが他とは違うと言っていました」

「そりゃあ、まあ。一目見ただけで分かるだろうよ?」とゴロー。

「ぜんまいの有る無しについて言っているのではないような気がしました。でも、どういう意味かと尋ねても教えてもらえなくて。病室が、どうとか」

「病室?」

「ええ」

ルークの指が、広げていた聖都城の間取り図をくまなく滑る。

「……ねえぞ? 何のことだ?」

あたしは首を横に振る。分からないという意味で。

「でも、黒ちゃんって見ず知らずのナオヤのぜんまいを巻いたんでしょ? そんな話、今まで聞いたことないし、ぜんまいがないのは今のところ創手と黒ちゃんだけよね? 何か関係があるのかしら」

シノブの疑問に答えられる者はここにはいなかった。
闇雲に疑点が量産され、具体的なプランが何も出ぬまま、灰色のムードがテーブルの上に流れ出す。

「あの、その、ヒメを救出しに行きませんか?」

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