『またね。』
…輝が私のことを…すき…
「でも僕は…」
輝は私を見て困惑した表情。
「…鈴の想いは嬉しいよ。
でも…」
「なら、私と付き合って…
生きてる間だけでいいから…」
輝…お願い…
私が、生きてる間だけでも輝のそばにいさせて…
「…分かった。」
いつもの様に輝は優しく微笑んで私の頭を撫でる。
「ありがとう、輝…」
手術も、成功するか分からないのに…
数週間限定の私の恋。
【佐倉鈴side END】

【卯月輝side】
まさか、鈴が僕のことをそんなふうに思ってくれていたなんて…
考えてもいなかったし、考えようともしていなかった。
だって、僕は鈴との約束を破ってしまうから…
「輝、あのね!」
「うん。」
「手術成功したら、もう1回告白するね!」
…鈴…
ごめんね。
もう1回の告白、しなくてもいいんだよ。
「…しなくても、いいよ。」
「え?」
「もう1回、聞いたから。」
鈴が手術終わったら、僕はもういないから。
「…何回も聞くのはもったいないでしょ。」
後、2週間限定の僕の彼女。
「…そっかあ…
じゃあまた、どこか遊びに行こうね!」
「今度はどこ行こうか。」
鈴…
手術が終わったら、僕のことは忘れて…
僕のことで鈴が悩むのは見たくない。
「あ、もうこんな時間…」
「送るよ。」
僕は食器を下げて流しに置いておく。
家の鍵を掛けてポケットに入れる。
自転車の鍵を持ちながら僕は下に降りる。
「…輝、私今日歩いて帰ろうかな?」
「絶対だめ。」
…何かあったらどうするんだ…
「だって、輝にいつも送って貰ってばかりだもん!」
…鈴…
「今日はひとりで歩いて帰る!」
「…」
まあ、後ろからこっそりついて行けばいいか…
「…歩いてどのくらいかかるか分かってる?」
「うーん、私の速度だと…1時間?」
…分かってるのに、なんでわざわざ歩こうなんて…
「だから今日は送らなくていいよお」
…今ここで僕が送らなければきっと僕は後悔することになる。
なんで鈴をひとりで帰らせたのかって…
「いや、やっぱりダメ。」
…頼まれたんだ、鈴のお父さんに。
「もう〜…分かったよお…」
少し拗ねた鈴。
この距離は歩くのだめだろう。
「まあいっか、輝にくっつけるし。」
鈴は僕の後ろに大人しく乗る。
…帰って、お風呂とか全部終わらせて…
ゆっくり絵を…
あ、今日は違うんだっけ…
母に…かけ直すって言っちゃったから…
「輝!危ないよ!」
「あ、ごめん。」
ぼーっとしてたら信号無視する所だった。
…鈴乗せてるんだ、しっかり集中しないと…
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