キミの溺愛は甘すぎる。
どうしてこんな単純なことに気づかなかったのだと思いつつ、自分の着ていたブレザーを脱ぐ。
そして迷わず山城先輩の上半身に被せた。
「……ん」
一度ピクッと動いた山城先輩。
もしかして起こしてしまったかなと思ったけれど、また小さな寝息を立て始めて。
「風邪ひかないでくださいね」
最後にそう言って私は中庭を後にする。
「あれ?鈴華、上着は?」
「あー、鞄の中に直してる」
教室に戻るなり、早速みっちゃん指摘されてしまう。
「そうなの?
今日寒いから風邪ひかないでよ?」
「わかってる」
「まったく、早く暖房つかないかね」
どうやらここの学校の規定は厳しいらしく、決められた気温を下回らないと暖房がつかないらしい。
だいたい11月後半から12月にかけて、暖房がつくようになるようだ。