キミの溺愛は甘すぎる。



このまま放課後、デートをするとなれば寒さどころではなさそうだ。


「あんた、寒いならブレザー着なよ。
鞄の中にあるんでしょ?」

「うーん、それができたらね……」


ホームルームが終わり、帰る準備を済ませたみっちゃんが私の元へやってきたかと思うと呆れたようにため息を吐かれてしまう。


「やっぱりブレザーは鞄の中になかったんだ?」
「気づいてたの?」

「なんとなく。
もー、仕方ないわね。はい」


どうやらみっちゃんにはバレていたらしく、手に持っていたカイロを渡される。


「え、でもこれはみっちゃんの…」

「だからあげるってことでしょ。ブレザーは神田にでも貸してもらえばいいよ。じゃあね」


そう言ったかと思うと、みっちゃんはひらひらと手を振って帰ろうとしてしまうから慌ててお礼を言った。

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