キミの溺愛は甘すぎる。
「よく私ってわかりましたね」
「こんなことするお人好しは雪夜しかいねぇからな」
呆れたような顔をされ、さすがの私もイラッとしてしまい。
思わず乱暴にブレザーを受け取ろうとしたけれど、その前に山城先輩がブレザーを肩にかけてきた。
「悪いな、寒かっただろ」
「……っ」
不覚にもドキッとしてしまう。
私のことをバカにしてからこんなことするだなんて、本当にずるい。
そりゃ女子も騒ぐわけだ。
今だってきゃーきゃー騒いでいる。
「山城先輩があんなところで寝てるほうが絶対寒いですよね」
少し俯き加減になりながらも、言葉を返す私。
「あー、体育終わりだったから着ずに寝てた。
元々教室に置いてたし」
「またサボったんですか?」
「んなわけねぇだろ、4限目が早めに終わったから飯食わずに寝てた」
さすがにサボり魔ではないらしい山城先輩。
それでもこの時期にあそこで寝るのはどうかと思う。