キミの溺愛は甘すぎる。
「いいから早く」
固まる私が手に持つ鞄をひょいっと奪った優翔。
本気で脱がせる気らしい。
「ど、どうして!」
外は教室の中より寒いというのに。
脱がせるとはどこの鬼だ。
「俺の着ればいいから」
「ま、待ってよ」
勝手に話を進めないでほしい。
優翔のを着るくらいならなおさら自分のブレザーを着ればいいのだ。
「……汚れ」
「え?」
「汚れてるから、鈴華のブレザー。
それも結構目立つところについてる」
「う、嘘…!?」
それは一大事だ。
もし本当についているのならば恥ずかしい。
慌ててブレザーを脱ぎ確認しようとすると、その前に優翔にそれを取られてしまう。
「えっ…」
「じゃあ鞄持っててね」
さらにはブレザーの代わりに私と優翔の鞄を渡された。