キミの溺愛は甘すぎる。
「ね、ねぇブレザーは…」
「いちいち汚れ確認する必要ないよね」
「うっ…」
確かにそうだ。
わざわざ汚れを確認することはないだろう。
けれど鞄は渡してきたくせに、ブレザーは渡してくれない。
それどころか私のブレザーを手に持ったまま器用に自分のを脱ぐ優翔に、疑いの目しかいかないのである。
もしかしたら本当は汚れなんてなかったんじゃないかって。
けれど確認する方法もなく優翔のブレザーを渡さたため、素直にそれを着る。
私なんかよりもずっとサイズが大きくてぶかぶかだったけれど、中はもちろん暖かくて。
優翔のブレザーを着てるんだと思うと、少しドキドキした。
「うん、今日はそれ着て過ごしてね。
これはもう捨てよう」
「え、そんなに酷い汚れだったの?」
「そうだね。鈴華自身が穢れてしまうものだよ」
にこにこと嬉しそうに笑いながら言うものだから、少しだけゾッとしてしまった。