キミの溺愛は甘すぎる。



「へぇ、かっこいいと思ってくれてるの?」

「……っ、そんなの拓哉さんと未央ちゃんの子供なんだし」

「そうか、鈴華は俺のことかっこいいって…じゃあ俺を彼氏にしてよ」

「絶対やだ!」



最悪だ。

私がかっこいいと言ってしまったばかりに、調子に乗らせてしまったのだ。


「もー、そうやって俺を拒否する」
「嫌なものは嫌なの!」

「じゃあどうして父さんは好きなの?
父さんのどこが好きなの?」

「……全部。本当に素敵な人なの」
「俺はどこが嫌い?」

「……全部」
「かっこいいって言ったのに?」

「……っ」


ああ、本当にいつも何枚も上手だ。
彼に抗うことができない。



「本当にかわいい、その反応も全部俺は好き。
早く鈴華を食べられるその日まで我慢するね」

「な、何言って…」


私を食べたいってどんな悪趣味だ。
初めては馴染みのある女がいいってことだろうか。

それはそれで悲しいなと思いつつ、今日も私の惨敗であった。

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