キミの溺愛は甘すぎる。
*
学校に着いた頃には優翔のせいで疲れが溜まっており、自分の席に座るなり机に突っ伏した。
「つ、かれたぁっ…」
誰かさんのせいで。
本当に誰かさんのせいで。
私ばかりが感情を大きく左右され、無茶苦茶にかき乱される。
本当に悔しい。
「鈴華、またあんたダウンしてんの?」
「……みっちゃん」
そんな私に話しかけてきたのは、今日もばっちりメイクを決めている笹木 瑞樹(ささき みずき)。
私はあだ名で“みっちゃん”と呼んでいる。
そんな彼女は自称“ナンパ顔”で、確かにみっちゃんは綺麗だけれど少し怖さすら感じられる美女だ。
つまりこれをナンパ顔と言うらしい。
告白回数よりナンパ回数のほうが多いと言っていた。
けれど私は知っている。
彼女のすっぴんは、とてもかわいいということを。
きっと童顔を隠すためにばっちりメイクして、綺麗に見せているに違いない。