予言書を手に入れた悪役令嬢は役を降りることにしました。



幾重にも積み重なった布の塊は、払い除けると大量の埃を舞い上がらせた。

もわんと煙が立つように舞い上がる埃が差し込む月の白い光にキラキラと光る。

中から現れたのは何ということもないごくありふれたただの木箱だった。
露店の裏にでも積み上げられ、捨てられるのを待っているような、古い、腐りかけ黒ずんだ木の箱。

釘は打たれておらず、ミリアの力でも簡単に開くことが出来そうだった。
ただ蓋の端を両手に持って、持ち上げるだけで良い。
もしくはただずらすだけでも労せず床に落ちるだろう。

ミリアは埃を吸い込まないように鼻と口元を手で覆いながら、ごくん、と唾を飲んだ。

本当にこれを開けてしまって良いものか。
当然ながら胸は内には迷いはある。
だがどうせ開けるのなら少しでも早く、明かりがある間にするべきだ。これ以上月が覆い隠されてしまう前に。

雲が増え、光を遮っているのだろう。
差し込んでくる明かりも細く、薄くなっていた。部屋の一角はもう闇に沈んでいる。

ミリアは埃が収まるのを待つと一度深く深呼吸をした。

そうして両手の指を蓋の縁にかける。

ゆっくりと開いたその中には、一冊の本が入っていた。

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