予言書を手に入れた悪役令嬢は役を降りることにしました。
パタン、と閉じたドアをしばらくじっと見つけてから、ミリアはふぅ……と息をついた。

ラーナの、どうやら裏表のある言動は結構な問題だけれど。

(今は、それより先に確認すべきことがあるわよね)

ラーナのこと、ロアンのこと。
二人のこと。
ミリアを含めた三人のこれから。
いったいラーナにもロアンにもどのような態度をとるべきか。

考えること、悩ましいことは山盛りで、しかもどう動くにせよ覚悟が必要なのか確かで。

けれどもそれら以上にまず確かめるべきことがある。

「あなた、どうしてここにいるの?」

先ほど、侍女が訪れる前に聞きかけだった質問の続きが。



「私、確かに『ここから出れない』って言ったけど。実のところは部屋からってわけではなかったのよね。あ、でもあながち嘘ってわけでもないのよ?だって部屋からだって出れないのは確かだから」

なんだか変な気分だ。

ミリアはこれまで一度だってこんな光景を想像したこともない。
こんなーーー幽霊と顔を突き合わせて自分が話をしている光景なんて。

「どういうこと?」

それにもう一つ。
幽霊と向き合っているというのに、これっぽっちもすでに怖いとは思えないなんて。

変な気分だし、奇妙で不思議。
なのに嫌な気分だとは思わなかった。


「私が出れなかったのはーーーアレからよ」

そう言って幽霊の女性はベッドサイドのミニテーブルを指差した。
テーブルの上、そこに置かれたもの。

一冊の、ミリアにも見覚えのある書物を。







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