予言書を手に入れた悪役令嬢は役を降りることにしました。
(……残念)

見た目は美しい女性なのに。
わずかな時間ながらも中身の残念感がヒシヒシと伝わってくるような気がする。

生前はさぞかし社交界を賑わせたであろう麗しくも凛とした美貌。

女性にしては高めの身長にスラリと長い手足。
深い蒼のドレスに包まれたボディラインは見事にボン、キュッ、ボンな曲線を描いている。
淡く煌めく銀の波打つ髪に白磁の肌。くっきりとした二重の長い銀の睫毛に縁取られた紫紺の瞳に珊瑚の色のぷっくりとした唇。

(……特に胸、すごいわ)

小ぶりのメロンが2つ、とミリアは自分自身のささやかな膨らみを見下ろして溜め息をつく。

 そういえばラーナも見事な代物を持っているのだった。

(ロアン様もああいうのがお好きなのかしら)

男性というのはそういうものだとどこかで聞いた気がするが、これまでのお相手がどうだったかまではミリアには思い出せなかった。

「……なぁに?他人の胸と自分のを見比べちゃって。大丈夫、女は胸だけじゃないわよ?手にすっぽり入るのがいいって男もいるし、胸よりも尻派ってのも多いしね」

慰めてくれたのだろうか。
けれど。

「メロンに言われても……」

ふよふよと寄ってきた幽霊の胸を間近に見て、また溜め息をつく。 

「いやいや、私のは期間限定だからっ……て、あ、死んでるからもうずっとこのままなのね。でもでも大きいのも大変よ?肩こるし」

 
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