予言書を手に入れた悪役令嬢は役を降りることにしました。
狭い本棚と本棚の隙間を幾人かの人とすれ違いながら歩いていく。
その間もブツブツと口の中で呟き続けていたミリアは、横から聞こえてきた複数の声に目を向けた。
(こんな場所でケンカ?)
どうやら棚の向こう側で言い争いをしている人間がいるらしい。
片方はおそらく貴族だろうか。
肩が触れたとか、不敬だとか、声を荒げておりもう片方はひたすら申し訳ありません。と謝罪を繰り返している。
(……いやね、こんな場所で)
大図書館は貴族だけでなく平民にも平等に解放されている。
なかにはミリアが手に持つ『貴族名鑑』のような平民には閲覧不可な書物もあるにはあるが、基本的には誰にでも利用可能な場所だ。
そのような場所で身分をひけらかすのはマナー違反も良いところ。
そもそもある程度高位の貴族なら普通は上階の閲覧フロアを利用するもの。
いくら平等に解放されているとはいっても、まさか一緒にするわけにもいかない。
入口も貴族の利用するものと平民が利用するものは別にあるし、閲覧フロアも貴族向けにちゃんと整えられた場が上階に作られている。
なので大抵の貴族は自身は上階のフロアで寛いでいてお付きの侍女や付き人に本を取りに行かせるものだ。
(わざとかしら?悪趣味なものね)
なかにはわざとこのような場所で平民に難癖をつけて偉ぶったりいびる人間がいるというのを聞いたことがある。
多くは普段貴族社会の中では立場の弱い下位貴族であるという。
その間もブツブツと口の中で呟き続けていたミリアは、横から聞こえてきた複数の声に目を向けた。
(こんな場所でケンカ?)
どうやら棚の向こう側で言い争いをしている人間がいるらしい。
片方はおそらく貴族だろうか。
肩が触れたとか、不敬だとか、声を荒げておりもう片方はひたすら申し訳ありません。と謝罪を繰り返している。
(……いやね、こんな場所で)
大図書館は貴族だけでなく平民にも平等に解放されている。
なかにはミリアが手に持つ『貴族名鑑』のような平民には閲覧不可な書物もあるにはあるが、基本的には誰にでも利用可能な場所だ。
そのような場所で身分をひけらかすのはマナー違反も良いところ。
そもそもある程度高位の貴族なら普通は上階の閲覧フロアを利用するもの。
いくら平等に解放されているとはいっても、まさか一緒にするわけにもいかない。
入口も貴族の利用するものと平民が利用するものは別にあるし、閲覧フロアも貴族向けにちゃんと整えられた場が上階に作られている。
なので大抵の貴族は自身は上階のフロアで寛いでいてお付きの侍女や付き人に本を取りに行かせるものだ。
(わざとかしら?悪趣味なものね)
なかにはわざとこのような場所で平民に難癖をつけて偉ぶったりいびる人間がいるというのを聞いたことがある。
多くは普段貴族社会の中では立場の弱い下位貴族であるという。