何の取り柄もない田舎の村娘に、その国の神と呼ばれる男は1秒で恋に落ちる【前編】
「不思議なものじゃな…。歴史は繰り返される。」
「じゃあ…。」

(母親だと言うその人も…?)

士導長はその先を口にはしなかったが、天音にはわかっていた。

「先の反乱を率いた彼女は、なぜそんな不吉な名を名乗ったのか…。」

不吉な名前……。ジャンヌダルクは魔女と言われ、処刑された。その彼女と同じ名前を?

『ジャンヌ天音だ。』
『ああ、彼女を、君の母親の事をみなそう呼んでいた。』
確かに辰もそう言っていた。

「…彼女もまた、神の声を聞いたそうじゃよ…。」

神の声…?

『神様…。』

「そう、そして人々は、彼女の導き通り動き、反乱軍はいつしか大きな勢力となった。しかし、全てが順調だと思われたが、最後の最後に国の軍の罠にはめられ、反乱は失敗に終わった。そして国は、彼女は救世主ではなく、魔女だと言い張った。」

繰り返される運命…?

『私は…魔女じゃ…ない…。』

「そうして、彼女はこの世を去った…。」

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