何の取り柄もない田舎の村娘に、その国の神と呼ばれる男は1秒で恋に落ちる【前編】

数日後

いつもとなんら変わりない日々にそれは突然現れた。

「ドケ！！」
「お、お前…。」

城に突然現れた月斗は、城の門番の兵士に殴りかかり、その門の中へと歩を進めようとしていた。
兵士は突然の事にうろたえ、地面に伏せたまま動けず、ただそこから彼を見上げた。
今日の月斗は、いつものように顔を隠してはいない。
月斗はそのまま、城にズカズカと侵入していく。

「どこにいる。」

月斗が小さくつぶやきながら、辺りをキョロキョロと見回していく。
なんせ、彼がこうやって正面から城に足を踏み入れたのは、初めての事なのだから。

「し、侵入者だーー！！」

兵士が大声で叫んでいるが、月斗はそんな事に構わず、ズカズカと城の中へと進んで行く。
そして彼は、向かってくる兵士達を、いとも簡単に投げ飛ばしていく。
なぜだか、今日の月斗には、兵士達の力では全く歯がたたない。