何の取り柄もない田舎の村娘に、その国の神と呼ばれる男は1秒で恋に落ちる【前編】
「え…?」
天音は言葉を失い、その場に呆然と立ち尽くした。
「な、何してる捕らえろー!!」
兵士の一人が叫んだ。
そしていつの間にか、月斗の周りは兵士達に取り囲まれていた。
大勢の兵士達が月斗を捕らえようと、彼に掴みかかった。
「離せ!!オイ!!青はどこだ!!お前なら知ってんだろ!」
なぜか急に、先程までの信じられない程の力を失った月斗は、兵士達にがんじがらめにされながら、叫び続けた。
かずさに向かって。
「青は彼を憎んでいるのよ。」
しかし、かずさは月斗の方など、一切見向きもしない。
「ウソ…。」
天音もまた、何かに捕らわれたかのように、かずさの恐ろしいほど冷たい目に釘付けになるばかり。
「城(ここ)で青の名を呼ぶことは禁忌。」
「え…。」
まるで二人の間にだけ、別空間のような冷たい空気が流れている。
そんな二人の後ろでは、月斗が複数の兵士に抑えつけられていて、もう身動きが取れない。
「何にもわかっちゃいないのはお前だ!!いいか!アイツにはもう会うな!」
それでも、月斗は叫び続けた。
その言葉は天音に向けられたもの。
「…。」
天音のその瞳は、揺れていた。
しかし、かずさのその視線から逃れる事は許されず、月斗の方へと振り返る事さえも出来ず、どうしたらいいのかわからない。
「だから言ったでしょ。この世には知らなくてもいい事がたくさんあるって。」
「え…。」
「これで、もう青には会えない。」
「どう…。」
「あなた達が青の名を出した事で、彼の警備は強まるわ。」
さらに、かずさの冷静な声が降ってきても、天音はそれを飲み込み事ができない。
まるで、全ての言葉が、自分の手の中からこぼれ落ちていくように。
「覚悟がないなら、簡単に何でも口に出さない事ね…。」
かずさはそう言って、天音に背を向け歩き出した。
そして、天音は急に全身の力が抜け、その場にしゃがみこんでしまった。
(覚悟が…ない…?何もわかってなかった……?)
「ここは危険だ。立つんだ!」
辰は、そんな天音を見かねて、ここを離れるように促すが、彼女からの返事は全くない。
天音の足は、まるで力が入らず、何とか辰の力によって立たされ、彼に引きずられるように、部屋へと戻って行った。
天音は言葉を失い、その場に呆然と立ち尽くした。
「な、何してる捕らえろー!!」
兵士の一人が叫んだ。
そしていつの間にか、月斗の周りは兵士達に取り囲まれていた。
大勢の兵士達が月斗を捕らえようと、彼に掴みかかった。
「離せ!!オイ!!青はどこだ!!お前なら知ってんだろ!」
なぜか急に、先程までの信じられない程の力を失った月斗は、兵士達にがんじがらめにされながら、叫び続けた。
かずさに向かって。
「青は彼を憎んでいるのよ。」
しかし、かずさは月斗の方など、一切見向きもしない。
「ウソ…。」
天音もまた、何かに捕らわれたかのように、かずさの恐ろしいほど冷たい目に釘付けになるばかり。
「城(ここ)で青の名を呼ぶことは禁忌。」
「え…。」
まるで二人の間にだけ、別空間のような冷たい空気が流れている。
そんな二人の後ろでは、月斗が複数の兵士に抑えつけられていて、もう身動きが取れない。
「何にもわかっちゃいないのはお前だ!!いいか!アイツにはもう会うな!」
それでも、月斗は叫び続けた。
その言葉は天音に向けられたもの。
「…。」
天音のその瞳は、揺れていた。
しかし、かずさのその視線から逃れる事は許されず、月斗の方へと振り返る事さえも出来ず、どうしたらいいのかわからない。
「だから言ったでしょ。この世には知らなくてもいい事がたくさんあるって。」
「え…。」
「これで、もう青には会えない。」
「どう…。」
「あなた達が青の名を出した事で、彼の警備は強まるわ。」
さらに、かずさの冷静な声が降ってきても、天音はそれを飲み込み事ができない。
まるで、全ての言葉が、自分の手の中からこぼれ落ちていくように。
「覚悟がないなら、簡単に何でも口に出さない事ね…。」
かずさはそう言って、天音に背を向け歩き出した。
そして、天音は急に全身の力が抜け、その場にしゃがみこんでしまった。
(覚悟が…ない…?何もわかってなかった……?)
「ここは危険だ。立つんだ!」
辰は、そんな天音を見かねて、ここを離れるように促すが、彼女からの返事は全くない。
天音の足は、まるで力が入らず、何とか辰の力によって立たされ、彼に引きずられるように、部屋へと戻って行った。