何の取り柄もない田舎の村娘に、その国の神と呼ばれる男は1秒で恋に落ちる【前編】
「反乱者の月斗は捕らえたー!!」

ワ~!!

次の日の朝一番に、兵士が城の前で月斗を捕らえた事を、民衆に大々的に発表していた。
それだけ、月斗の捕獲には意味がある事のようだ。

「なんやて…。」

りんは目を大きく見開いて、思わず声を漏らした。

「何やってんねん!!」

りんは、周りの人々の嬉しそうな表情とは真逆の表情を見せ、唇を噛み締めた。

「月斗さん…。」

りんのそばにいた、一人の男が彼の名をつぶやいた。
彼もまた、その群衆の中からは浮いた表情を見せていた。

「兄ちゃん…月斗の仲間かいな…。」

軽々しくそんな言葉をかけてきたりんに、男はあっと言う前に表情を変え、彼を鋭く睨んだ。

「大丈夫や。わいは月斗のダチや!」

りんはそう言ってニッコリと笑い、彼の警戒心を解く事に努めた。

「…月斗さんが捕まるなんて…。」

そのりんの作戦は成功したのか、りんを睨む事をやめた男は、悔しそうにこぶしを握りしめた。

「…ちょっと、話聞かせてな。」

りんが男に近づいて、低い声でぼそりとつぶやいた。

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