何の取り柄もない田舎の村娘に、その国の神と呼ばれる男は1秒で恋に落ちる【前編】
そんな天音がやって来たのは、青の姉のお墓だった。
京司が一緒に行きたいと言うのを天音は快諾してくれたが、その表情はやはりどこか冴えない。
夜ではない今は、この前のように月下美人は咲いておらず、ただの小高い丘のような場所だった。
そこにポツンと寂しくあるお墓の前で、天音は足を止めた。
「…ごめんなさい。私、何もわかってなかった…。」
「…」
天音が、ポツリポツリと言葉を紡いだ。
京司はその様子を、ただ天音の後ろで見守ていた。
「どうしよう。もう青に会えなくなったら…。」
『天音が来てくれれば、もう寂しくない。』
「青がまた一人になっちゃう…。」
昨日の事件があってから、やはり青の部屋へと向かう道には、たくさんの兵士が配置され、天音が近づく余地などまるでない。
しかし、京司は昨日の出来事は、月斗が城に侵入し暴れたとしか報告を受けていないため、天音がそれに関わっていた事などは一切知らない。
ザ―
天音の不安な心情とはうらはらに、風は今日も、天音の髪を優しく揺らしていた。
「ったく!墓の前で辛気臭い奴だな!」
その時、今まで後ろに居たはずの京司が、天音の隣へとやって来た。
「コイツが何やったか知らないけど、すみませんでした!」
そう言って京司は突然、青のお姉さんのお墓に向かって頭を下げた。
「え…。」
突然の出来事に、天音はただその様子を唖然として見ているだけだった。
京司が一緒に行きたいと言うのを天音は快諾してくれたが、その表情はやはりどこか冴えない。
夜ではない今は、この前のように月下美人は咲いておらず、ただの小高い丘のような場所だった。
そこにポツンと寂しくあるお墓の前で、天音は足を止めた。
「…ごめんなさい。私、何もわかってなかった…。」
「…」
天音が、ポツリポツリと言葉を紡いだ。
京司はその様子を、ただ天音の後ろで見守ていた。
「どうしよう。もう青に会えなくなったら…。」
『天音が来てくれれば、もう寂しくない。』
「青がまた一人になっちゃう…。」
昨日の事件があってから、やはり青の部屋へと向かう道には、たくさんの兵士が配置され、天音が近づく余地などまるでない。
しかし、京司は昨日の出来事は、月斗が城に侵入し暴れたとしか報告を受けていないため、天音がそれに関わっていた事などは一切知らない。
ザ―
天音の不安な心情とはうらはらに、風は今日も、天音の髪を優しく揺らしていた。
「ったく!墓の前で辛気臭い奴だな!」
その時、今まで後ろに居たはずの京司が、天音の隣へとやって来た。
「コイツが何やったか知らないけど、すみませんでした!」
そう言って京司は突然、青のお姉さんのお墓に向かって頭を下げた。
「え…。」
突然の出来事に、天音はただその様子を唖然として見ているだけだった。