何の取り柄もない田舎の村娘に、その国の神と呼ばれる男は1秒で恋に落ちる【前編】
「楽しみだね!」
「うん!」
華子は、天音が少し元気になった様子で、ほっとしていた。
そして、今度は、心から嬉しそうに天音は答えた。
「天音…。」
星羅がそんな天音の名を呼んだ。
「ん?」
「本当に戻って来る自身あるの?」
「え…?」
「本当は自信ないんじゃない?」
星羅は、確信をつく言葉を、天音に投げかけた。
あんなに帰りたいと言っていた天音は、もしかしたら、もうここへは戻っては来ないんじゃないかと。
―――― 見極めなければならない。彼女は何者なのか。
「星羅?」
華子が星羅の詰め寄る姿に、心配になり声をかける。
「あなた言ってたわよね。村でまた、みんなと暮らしたいって。」
しかし、星羅はそんな華子に構う事なく、さらに続ける。
「うん…。」
天音はそんな星羅に圧倒されながらも、小さな声で答えた。
「その願いに妃はいらないわ…。」
そして、星羅はもう一度天音に問う。
「星羅前にも言ったけど、私がここに来たのは…別の理由もある気がする。」
「…。」
天音は窓の外の夕日へと視線を移した。