何の取り柄もない田舎の村娘に、その国の神と呼ばれる男は1秒で恋に落ちる【前編】
「どーしよう、星羅ー。」

その頃、華子と星羅は、食堂で決められた席に着く。
もう、夕食が始まろうとしているにもかかわらず、未だ天音は帰って来てない。
もちろん華子は気が気でない。

「落ち着きなさいよ。」

しかし、そんな華子とは対照的に、星羅はいつも通り冷静だった。

「やっぱり、私が先に帰って来ちゃったから…。」
「違うわよ。」
「え…?」

華子は、やっぱりもっとちゃんと探せばよかったと後悔し始めていたが、星羅はやはり落ち着いた声で反論を示した。

「これで帰って来なかったら、それまでの子だったのよ。彼女は妃になる器じゃなかっただけ。」

星羅がいつになく低い声を出し、前を見据えた。

「やる気のない者は…帰ればいい…。」

やはり、どこか冷めた様子の星羅は、視線を料理が並べられた机へと落とした。
それでも華子は、時計から目を離せないで、ヤキモキし続けていた。

チッチッチ
しかし時は無常にも進んでいく。

「私は…」

その時、華子がおもむろに、口を開いた。

「私は…そんなの…いや!」


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