私の中におっさん(魔王)がいる。~花野井の章~

(花野井の追慕)

 俺と柚は、山賊――皇龍団に生まれた。
 父親は皇龍団の一員。母親は知らねえ。
 柚の母親と俺の母親は違う。それだけは知っていたが、互いにどんな女なのかは知らなかった。
 おそらく、どっかの一味だが村だかを襲ったときに出来た子どもなんだろう。
 皇龍団は当時、女を攫ってきては、気にいった女だけを生かし、子を作り、厭きたら殺す。その繰り返しを行っていた。
 柚の母親も俺の母親も、おそらく殺されんだろう。
 
 子供は働き手として重宝される。使えれば手足に。使えなければ、売りに出される。女なら、東の花街みたいなところに。
 男なら、非合法の奴隷に。
 幸いな事に、俺と柚には、能力があった。その能力のおかげで、売られずに済んでいた。俺は、波風が立たないように、へつらうように生きてきた。
 柚を守らなきゃいけないと思っていたから。
 柚を守れるのは俺だけだ。
 親父は信用ならなかった。やつは、強い者に媚びへつらう、腰ぎんちゃくのような男だった。
 そんな男に、大事な妹をまかせることなんざ、到底できねえ。
 俺と違い、柚はいけないと思う事は、はっきりと言い、こうだと思う事は頑として譲らないやつだった。
 そういう向こう見ずなところが、時にカシラの気に障り、時に、気にいられるところでもあった。
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