追放された悪役令嬢ですが、モフモフ付き!?スローライフはじめました
『あ~、美味しい! だけどこれ、一本の量が少ないのが難点ね。とはいえ、これだけあれば数本減ったところでわかりゃしないわね。ちょうど喉がカラカラに渇いてたから助かっちゃった』
――キュポンッ。――キュポンッ。
――ゴキュッ、ゴキュッ。――ゴキュッ、ゴキュッ。
慌てて注意をしようと口を開きかけるも、怒涛の勢いで積まれていく空瓶を前に、私の口は半開きのまま岩の如く固まった。「キュポンッ」と「ゴキュッ」のエンドレスに、瞬きの仕方も忘れて見入り、聞き入る。
……ハッ!!
『ちょっ、リリアーナ! 駄目だよ、積荷に勝手に手を付けるなんてなんのつもり!?』
なんとか正気を取り戻して声を上げれば、リリアーナは既に何本目とも分からぬジュースを手に掴み、緩慢に振り返った。
『……やだ、なんでいるのよ?』
後部座席の私を不遜に見返すリリアーナに、悪びれた様子は微塵もなかった。
『なんでって、私はお腹が痛くてここで休ませてもらってたの』
『ふーん。たしかあなた、アイリーンって言ったかしら。……ねぇアイリーン、私たち同じクラスの仲間よね?』
するとここでリリアーナが先ほどまでの不遜な態度から一転し、殊勝な態度で私に向かって身を乗り出してきた。
『え? それはもちろん、クラスメイトだし』
若干押され気味になりながら、頷く。
リリアーナは手にしたジュースを元の箱に戻すと、上目遣いに私を見た。キラキラと潤んだ瞳を向けられて、ビクンと体が仰け反った。