追放された悪役令嬢ですが、モフモフ付き!?スローライフはじめました
翌日は、朝からあいにくの雨模様。
こうなると、客足はパタリと途絶える。今日はお客様の来店は見込めなそうだ。
――カラン、カラン。
前言は撤回で、雨でも訪ねてくれる奇特なお客様もあったようだ。私は慌てて厨房を出て、店内へと踏み出した。
「いらっしゃ、……っ!!」
ところが視界に扉を捉えた瞬間、踏み出した足が衝撃で止まる。
「ガウッ」
扉のフレームに体を詰まらせるようにして頭を出す、四メートルの巨大モフモフ――!
「プリンスッ!!」
私は止まった足を再び動かして、扉に向かって駆けた。プリンスもまた、ボッフンと扉を抜けて、店内に身を滑らせる。
私がプリンスの首元目掛けて飛び込めば、プリンスは極上のモフモフの毛皮で私を受け止める。
「プリンスいらっしゃい! この間は急にいなくなっちゃうから心配したのよ! また会えて嬉しいわ!!」
「ガウガウッ」
私がふわっふわの毛に頬ずりしながら言えば、プリンスは「俺も嬉しい」とでも言うように、バッフバッフと尾っぽを振って機嫌よく嘶いた。
「さぁプリンス、中へどうぞ。よかったらストロベリーパイはいかが? 正式にメニューに採用したこの間のシフォンケーキもあるのよ」
「ガウゥッ」
プリンスは器用に巨体をくねらせて、椅子やテーブルといった店内の備品を避けながら私の後に続く。そうして厨房の端っこに巨体を丸め、私が準備する様子を見つめていた。