追放された悪役令嬢ですが、モフモフ付き!?スローライフはじめました

「ガウッ!? ガウガウッ!!」
 しかしプリンスは間一髪のところで私の窮状に気付いたようで、弾かれたようにギュウギュウと締め上げていた腕を解いた。
「っ! はぁあっ、……はあっ」
 私が必死で呼吸を整える傍らで、プリンスは耳を垂らし、蒼白な表情で体を震わせていた。
 うっ! 正直、ペタンと丸耳を垂らし、しょんぼりと体を縮めてこちらを窺う巨大モフモフは、垂涎もののかわいらしさだ。
 プリンスのかわいらしさを前にしては、たとえ死にはぐろうが、怒りなど湧く隙も無い。
「……はぁっ。もうプリンスってば、めっ」
 なんとか呼吸を落ち着けて私が発した第一声に、プリンスは落っこちそうなくらい目を見開いた。そうしてプリンスはゆっくりと前足を伸ばすと、遠慮がちにぷにぷにの肉球で私の頬を撫でた。
「ガウ」
 なにこの、肉球ぺちぺち……! 私、鼻血が出そう……。
 プリンスの「ごめんね」に、頬の緩みは止まらない。
「ふふふ、分かってるよプリンス。私、プリンスが大好きよ!」
「ガウッ!」
 私がギューッと抱き付けば、プリンスは慎重すぎるくらい慎重に私を受け止めた。
 プリンスははじめは遠慮がちにしていたけれど、私が構わずに一際柔らかなお腹をモフモフと撫で繰り回していれば、辛抱堪らないといった様子でペロリと舌を伸ばしてきた。

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