追放された悪役令嬢ですが、モフモフ付き!?スローライフはじめました
だけどいきなり、明日から納品しないというのはあんまりではないだろうか。マルゴーさんの手のひらを返したような対応に、私のショックは大きかった。
「ですが、これではうちの営業が……」
「悪いけど、ランク品は無理だ。あるいは、規格外品なら回す事は出来るけど……」
っ! 思わず、拳をギリリと握り締めた。
規格外品は、ジャムやピューレに使う加工用苺の事。それでは、ケーキやパイを飾る主役にはなり得ない!
「苺はスイーツの顔になる主役です。苺のランクは妥協できません」
私は湧き上がる感情をなんとか抑え、平常心を保ったまま訴えた。
「そうか。それじゃ悪いけど、うちとの付き合いはこれっきりにしてくれ」
「……シーラさんから、マルゴーさんの農園とはもう、何十年も取引させていただいていると聞いています。無理を承知で、なんとか融通していただくわけにはいきませんか?」
あんまりだと思った。こんな理不尽は通らないと思った。
だけど私は怒りを露わにするよりも、一縷の望みを賭けて頭を下げて乞うた。
「アイリーンさん……っ、無理な物は無理だ! 次の納品もあるから、もう行かせてもらいます!」
マルゴーさんは泣きそうに顔を歪めて早口で答えると、逃げるように店を後にした。