追放された悪役令嬢ですが、モフモフ付き!?スローライフはじめました



 ……どうしよう。私はどうしたらいい?
 マルゴーさんが帰った後、私は木箱を抱えたまま茫然と立ち尽くした。平たい木箱の中には、苺が傷まぬよう一粒一粒スポンジで包まれて並んでいた。
 マイベリー村産の苺は、苺農業組合で定められた統一規格でランク分けされている。店では味、見た目ともに最も優れたAランクの苺のみを使用している。
 Aランクの苺は生産量が限られていて、どこの苺農園も提携する卸先に優先的に回してしまう。まれに生産に余剰が出た場合を除き、一般の市場に出回る事はほとんどない。
 だから当然、他の農園との購入交渉とて一両日で成せるものではない。
 ――カラン、カラン。
「おはようアイリーン」
「シーラさん!」
 私が物思いに耽っていれば、シーラさんが店にやって来た。
「なにか困りごと? あなた、ずいぶんと難しい顔をしているわ」
 シーラさんは私の顔を見ると、一番にこう問いかけた。そうして、おもむろに私の持つ木箱へと視線を移す。
「あら? 苺が一箱だけ?」
 シーラさんの顔を見たら、私は一気に力が抜けてしまった。
「シーラさん……っ」
「あらあら、どうしたの?」

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