追放された悪役令嬢ですが、モフモフ付き!?スローライフはじめました
「シーラさん! 足が悪いのに無理をしちゃ――」
「大丈夫よ。ジェームズの農園なら、すぐそこから乗り合いの馬車で一本だわ」
慌てて制止の声を掛けると、シーラさんが私を振り返って答えた。
……たしかに、ジェームズさんの農園には、店のすぐ近くから出る乗り合いの馬車で行ける。しかも、もうじき朝一番の乗合馬車が出るところだ。
「ところで、オーブンから香ばしい香りがしているわよ。トッピング用のクッキーが焼き上がったんじゃない?」
「わっ、大変!! 焦げちゃう!」
私は慌てて厨房に駆け戻った。
「ふふふ。とにかく今後の事はあまり心配しないで、今日の営業をお願いね。いってくるわ」
「いってらっしゃい! 気を付けてください」
不測の事態にも動揺を見せず、颯爽と行動するシーラさん。その背中を見ていると、なんだか一人であくせくしている自分が馬鹿馬鹿しく思えてきた。
……私もしっかりしなくっちゃ! まずは、ある分の苺で今日の営業をやり切る事を考えよう!
私は気持ちも新たに、開店準備に取り掛かった。