追放された悪役令嬢ですが、モフモフ付き!?スローライフはじめました




 ――カラン、カラン。
「いつものを頼む」
 カーゴは今日も閉店の一時間前にやって来て、入店と同時にいつも通りのオーダーをした。
「ごめんなさい。今日は事情があって、もうストロベリーパイしか残っていないの」
 これまでにも、商品の完売で『いつもの』盛り合わせが数品欠ける事はあった。だけど、こんなふうにストロベリーパイしか残っていないというのは初めての事だった。
「へぇ? それはまた、ずいぶんと盛況だったんだな。今日はなにかイベントでもあったか?」
 カーゴはいつものカウンター席に腰を下ろしながら、首を傾げていた。
「うーん、それだったら言う事ないんだけど……」
「どういう事だ?」
 苦笑して言葉を濁せば、カーゴはスッと表情を引きしめて私を見上げた。
「実は、苺の納品が滞っちゃって――」
 私はマルゴーさんとの午前中の一幕をカーゴに説明した。
 この店の営業再開に一緒になって尽力してくれたカーゴは、直前になってマルゴーさんに納品を頼み込んだ事情もしっかりと把握していた。
「……だが、それは少しおかしい。Aランクの生産量が限られているのは分かるが、だからこそその流通も限定的なんだ。いきなり卸せなくなったというのは、絶対になにか裏がある。このケースなら、不当な買い占めなどもありえるぞ」
 ……商品の買い占め。私も真っ先に思い浮かべた事だった。

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