追放された悪役令嬢ですが、モフモフ付き!?スローライフはじめました
「そこなのよね……。もともとマルゴーさんって、とても義理堅い性格なの。普通に考えれば、直前の交渉だったからと言って、一度した納品の約束をいきなり反故にするなんて事はないはずなのよ」
「……はい。それについては、私も同じ思いです」
マルゴーさんの義理堅さや温和で優しい人柄は、これまでの納品時や、先の苺ミルクの一件で、私も重々知るところだった。
「悩ましいわね。でも、マルゴーさんのところが結構な額の借金を抱えてるのも事実なのよね。マルゴーさんが高ランクの苺を多く卸せているのは、それだけ育成コストもかけているという事よ。ハウスも最新鋭のを入れて、暖房を多く使って室温管理を徹底している」
「ならばやはり、コストの回収のために好条件の申し出を受けて、うちに卸す分の苺を回してしまったんでしょうか」
「どうかしらね……。うちは今シーズンこそ直前の依頼になってしまったけれど、マルゴーさんとのお付き合いは、コイキ食堂さんや六華亭さんよりもずっと長いの。マルゴーさんのお父様の代から、商売の枠を越えて家族ぐるみで交流させていただいたりもして。私には、マルゴーさんが金銭を目的にしてうちとの取引を撤回してしまうとは、どうしても思えないのよね」
シーラさんはどことなく腑に落ちない様子で、悩まし気に語った。
「……この店だけが納品を切られた理由は分からないが、もしかしたら金銭以外にもなにかあるかもしれないな。なにか他に、足元を見られたのかもしれない」