追放された悪役令嬢ですが、モフモフ付き!?スローライフはじめました
「お待たせいたしました」
男性の前に、お冷とおしぼりを置いた。
男性はメニューブックを広げておらず、注文する素振りもなかった。
「また、ご注文がお決まりの頃にまいります」
私はまだ注文が決まっていないのだろうと判断し、一旦男性の席を離れた。
「……お前、なんで営業できているんだよ?」
厨房に向かって数歩進んだところで、後ろから地を這うみたいな声が聞こえた。
え? ……この声!?
私はこの声に、聞き覚えがあった。
リリアーナが階段から落ちた時、リリアーナの訴えを受けて、真っ先に私を糾弾したのがこの声だった――!
「あなた、エヴァンね!?」
エヴァンは『桃色ワンダーランド』における攻略対象の一人で、三白眼が特徴の厳つい系マッチョキャラだ。
「ああ、そうさ! 苺の納品が停止したはずなのに、何故、営業が出来ている? おかげで俺は、大恥をかいた!」
私が弾かれたように振り返れば、エヴァンは立ち上がり、被っていた帽子を乱暴に取り去った。エヴァンはギラギラとした剣呑な目で私を睨めつけた。