追放された悪役令嬢ですが、モフモフ付き!?スローライフはじめました
「助けてくれてありがとう。私は大丈夫だよ」
私もプリンスの柔らかな毛並みを撫でる。
プリンスはまるで私の無事を確かめようとでもするみたいに、頬や首元、全身に鼻先をスリスリと寄せた。私はしばらくプリンスのするに任せ、最後に柔らかな毛並みをひと撫でして体を起こした。
店内を見渡せば、エヴァンは対格の壁にまで吹き飛ばされていた。壁に背中を預けてガタガタと体を震わせていたが、幸いな事に目立った外傷はないようだった。
それを見て、安堵にホッと息をついた。
「それから、エヴァンの事もありがとう。ちゃんと手加減、してくれたんだね」
私はエヴァンから隣のプリンスに目線を戻し、お礼を伝えた。プリンスが手加減をしてくれたからこそ、こうしてエヴァンは無事でいられたのだ。
「……ガウ」
プリンスは不承不承といった様子で小さく嘶いた。
私は再びエヴァンに向き直ると、ゆっくりと歩み寄った。
「あなたにも言い分は色々あると思う。だけど、私に馬乗りになって手を挙げようとした時点で、あなたは私に対してなにを言う権利も失った。分かる? 私が出るところに出れば、あなたは暴行罪で有罪になる」
エヴァンは大きな背中を丸め、俯いたまま答えなかった。
「ねぇエヴァン、私はね、お店の入口に再びやって来たあなたを見て、ここのスイーツを気に入ってくれたんだと思って嬉しかった。結局エヴァンはスイーツを食べに来てくれたんじゃなかったけど、よくよく考えてみると、やっぱり喜んでいいのかなとも思ってる」