追放された悪役令嬢ですが、モフモフ付き!?スローライフはじめました

「え……?」
 続く私の言葉が余程に意外だったのか、エヴァンは緩慢に顔を上げた。
 ……あ、頬っぺたに肉球の痕。どうやらエヴァンはプリンスから肉球パンチを受けたようで、両頬に肉球の痕をつけていた。
「エヴァンはさ、この村の苺を気に入ってくれたには違いないのかなって。だって、この村の苺を気に入らなければ、買い上げて王都で売ろうって発想にはならないよね? まぁ、そのやり方や根本にある動機はあれなんだけど」
 エヴァンは私をジッと見つめていた。その目からはもう、怒りの影は感じなかった。
 するとエヴァンが、突然クシャリと顔を歪めた。
「俺はやっぱりお前が嫌いだ。お前はいつだって正しいさ。そんなのは分かってる。だけど普通は、保身や打算が働いて、正しいばかりには振舞えない。凡人なんて、そんなものだ。俺は凡人の代表だからな、到底お前みたいには動けない。だからこそ、俺はお前の存在が鼻につく。リリアーナも、リリアーナの取り巻き連中も、皆きっと気持ちは同じだろう」
 ……ん? これは一体、どういう意味?
 予期せぬ回答に、私はどう答えればいいのか考えあぐねていた。
 固まる私を見て、エヴァンは憑き物が取れたみたいにフッと表情を緩ませて、ゆっくりと口を開いた。
「退学後、お前は実家に戻らなかった。修道院にでも身を寄せたに違いないと、リリアーナは嬉しそうだった。だが俺はどうにも腑に落ちず、探偵を雇って探らせてみた。そうすれば、お前はまさかマイベリー村のカフェで店主をしているという」

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